コンクリート打ちっぱなし物件のメリットとデメリット!住む際の注意点
コンクリートの素材そのものを生かした「コンクリート打ちっぱなし」の物件。
デザイン性も高く、シンプルな造りで、デザイナーズマンションなどでよく見られます。やはり気になるのは「住みやすさ」ではないでしょうか。
今回は、コンクリート打ちっぱなし物件のメリットやデメリット、注意点などを紹介します。
「コンクリート打ちっぱなしの物件に住んでみたい」「リノベーションをするか悩んでいる」という方はぜひ参考にしてください。
コンクリート打ちっぱなし物件とは?
「コンクリート打ちっぱなし」物件とは、RC造(鉄筋コンクリート造)や、SRC(鉄筋鉄骨コンクリート造)の建物で可能な仕上げの1種です。
内装や外装のタイルや壁紙、塗装といった仕上げの工程を省き、コンクリートをあえてむき出しにして完成させます。むき出しといっても質感は滑らかで、見た目もスタイリッシュです。
また、コンクリート打ちっぱなしの物件は、見た目のバリュエーションが豊富です。外壁と内壁の両方が打ちっぱなし、外壁か内壁のいずれかが打ちっぱなし、建物の一部が打ちっぱなしの物件など、コンクリートの活かし方ひとつで雰囲気も大きく変わります。
コンクリート打ちっぱなしの建物が初めて建築されたのは1924年。
当時、コンクリート打ちっぱなしのデザインは世に浸透しませんでしたが、現在ではデザイナーズマンションなどにも採用されるほど需要が高まっています。
また、コンクリートは近代建築の三大要素とも言われており、鉄・ガラスに並んで欠かすことができない材料になっています。
コンクリート打ちっぱなし物件のメリット
コンクリート打ちっぱなし物件は、構造やコンクリートの性質ならではのメリットがあります。具体的には以下の通りです。
デザイン性に優れている
コンクリートの質感をそのまま活かしたコンクリート打ちっぱなし物件は、スタイリッシュな印象を与えます。
また異素材とも相性が良いので、インテリアをコーディネートしやすいのも魅力的。観葉植物などのグリーンもおすすめです。他にはない、オリジナリティ溢れた空間をつくることができます。
広い居住空間を取れる
内装がコンクリート打ちっぱなしの場合、仕上げ材を使用しないので居住空間を広く取れます。また、柱と柱の間隔が広かったり、間仕切りの壁がなかったりするため開放的な空間になります。
家具のレイアウトがしやすいのもうれしいポイントです。
防音性に優れている
コンクリートは建築に使用される他の素材と比べると、優れた防音性を発揮します。外からの騒音や、室内の音も外に漏れにくいといった特徴があります。
防音工事は必要になりますが、楽器を使用したりシアタールームを作ったりすることも可能です。
耐久性が高い
コンクリートは非常に丈夫で耐久性があります。耐火性や耐震性にも優れているため、地震や火災などの自然災害に強いです
そのため、火災保険料が安い傾向にあります。
しかし、コンクリートが使われている箇所がどこかによるので注意が必要です。
コンクリート打ちっぱなし物件のデメリット
魅力的なメリットが多くある一方で、デメリットもあります。実際に住むことを検討している方は、後悔しないようデメリットを知っておくことも大切です。コンクリート打ちっぱなし物件のデメリットは以下の通りです。
外気の影響を受けやすい
コンクリートは熱伝導率が高い素材です。つまり、コンクリート打ちっぱなしの物件の室内は、夏は暑く冬は寒くなります。
また、外壁・内壁のどちらかが打ちっぱなしの場合は断熱施工が可能ですが、外壁・内壁どちらも打ちっぱなしの場合、断熱施工ができません。そのため、外気がダイレクトに伝わりやすくなります。冷暖房の効きも悪くなり、結果として光熱費が割高になってしまう場合も考えられます。
結露・カビが生えやすい
外気の影響を受けやすいので、温度差から結露やカビが発生しやすいのもデメリットです。
コンクリートは吸水性が高く、速乾性がありません。そのため、外気との温度差が大きくなる寒い季節は、特に注意が必要です。
結露を放置してしまうと、カビの発生の原因になります。カビは人体にも悪影響を及ぼすので、除湿器の設置や、こまめに結露をふき取るなどの対策をしましょう。
汚れが目立ちやすい
コンクリート打ちっぱなしの物件は「仕上げ」の施工がないため、汚れがつきやすく目立ちやすいといったデメリットもあります。
また、外壁が打ちっぱなしの場合、雨風に弱いため浸水や黒カビ・藻などによる汚れが懸念されます。近年ではそういった汚れを防ぐため、「撥水剤」という耐水性のある液体が塗布されていることがほとんどです。
コンクリート打ちっぱなし物件に住む際の注意点
気になる物件を見つけたら実際に現地に出向き、気になる箇所は全て確認しましょう。
物件を決める前に、以下の点に注意してください。
断熱施工についての確認
断熱施工されているか否かは、室内での過ごしやすさに直結します。また、光熱費にも大きく影響してくる部分なので、必ずチェックしましょう。
物件の印象や見た目を魅力的に感じるのは大切なことですが、コンクリート打ちっぱなしの物件の場合、見た目だけで判断しないことが大切です。
購入後に後悔しないためにも、慎重に判断しましょう。
定期的にメンテナンスがされているか確認
コンクリート打ちっぱなしの物件は、メンテナンスが欠かせません。
雨風に弱いコンクリートは、メンテナンスを怠るとシミや汚れが目立ちます。特に注意しなければいけないのが、ひび割れです。外壁のひび割れを放置していると、室内への雨漏りが起こる可能性も十分に考えられます。
コンクリート打ちっぱなしの物件に限った話ではありませんが、外壁の状態は必ず確認するようにしましょう。
日当たりや通気性の確認
外気の影響を受けやすい打ちっぱなしの物件は、日当たりや通気性も重要視した方がよいでしょう。日当たりや風通しが悪いと湿気がたまりやすく、カビの原因にもなります。
エアコンの除湿機能を使ったり、クローゼットの換気など、湿気をため込まないよう工夫が必要です。
築年数の確認
コンクリートは、水やセメント、砂や砂利を混ぜてつくられます。前述した通り、コンクリートは速乾性がありません。
ゆっくり時間をかけて水分が蒸発していくため、施工後は湿気が発生しやすいといえます。つまり、施工直後の新築の物件こそ、結露やカビ対策がとても重要になります。
コンクリート打ちっぱなし物件に住む際の対策
コンクリート打ちっぱなし物件に住むことを決めた場合、行った方がよい対策がいくつかあります。
定期的に換気をする
結露が発生しやすいと前述しましたが、カビの発生の予防のためにも定期的に(最低でも1日1回)換気をすることをおすすめします。
撥水剤を塗る
撥水剤は水を弾く効果の他に、汚れを比較的簡単に落とせる効果があります。
無色透明なので、美観を損なうこともありません。メンテナンスもしやすくなり、汚れから守ることもできるので予防対策としておすすめの方法です。
断熱対策をする
自分で行える範囲での断熱対策も大切です。
簡単な対策として、断熱シートを使う方法があります。使い方は簡単で、床や窓に貼るだけ。外からの冷気を遮断する効果があります。
また、カーペットを敷いたり断熱カーテンを取り入れるのも効果的です。
まとめ
スタイリッシュで、意匠性の高いコンクリート打ちっぱなしの物件はとても魅力的です。
一方で、コンクリートの特性上、外気の影響を受けやすく結露が発生しやすいといったデメリットもあります。もちろんデメリットの対策をしっかりすれば、快適に暮らすこともできます。
自分や家族のライフスタイルに合っているか、メリットとデメリットを比較して検討してみてください。